
美容師を目指して専門学校に通っている学生さんや既に美容室で働いている美容師さんの中にも将来的には独立したいと考えている方が多いと思います。独立して個人で店を構えるためには美容師としての技術はもちろん必要ですが、資金や経営などの知識も必要になります。
今回は「美容室の独立」について、わかりやすく解説します。
1. 美容師が独立をするタイミングとは?

美容師として働いてから何年目の独立が多い?
独立して美容室を開業する場合、10年程度の勤務を経て独立する美容師が多いです。
「美容師免許」を取得し、美容室に就職したとしてもいきなりスタイリストになれるわけではありません。一般的に2~3年はアシスタントとしてシャンプーやブローの補助など技術だけでなく、接客や受付など美容師としての基礎業務を学びます。
晴れてスタイリストに昇進した後も美容室によっては「ジュニアスタイリスト」「トップスタイリスト」のようにランク分けをしているところもあり、「トップスタイリスト」になるためには最短でも5年以上のキャリアは必要と言われています。
上記の様に美容師としての技術が成熟されている「スタイリストになってから5~10年」を目安に独立を行う方が多いです。
美容師が独立をする平均年齢は?
独立をした美容師の平均年齢は男女ともに31歳です。先述したように「スタイリストになってから5~10年」での独立が多いので、年齢で言うと25歳~35歳での独立になります。
新型コロナなど社会情勢に影響されることも
新型コロナウイルスの影響で外出制限が出された際には、多くの美容室やサロンが閉店を余儀なくされました。この期間中に独立を予定していた人で出店を延期・取り止めた方は多かったと思います。
このように事前に計画をしていても独立が困難になる場合もありますので、「いつか独立したい!」と考えている方は自分がベストだと思えるタイミングで行動を起こせるように準備をしておくことが重要です。
2. 独立に必要な資金

これから美容師として独立を考える場合、どのくらいの費用が必要なのかを把握することはとても重要です。
・独立開業にかかる費用の相場は1000万円
出店を希望するエリアや規模によって費用総額は変わりますが、一般的に美容室を独立開業する場合は1000万円~2000万円程度の資金が必要になると言われております。
独立開業に必要な費用
- 物件取得費用
- 内装・外装費用
- 備品・機材費
- 宣伝広告費
- 運転資金
詳細は「美容室の開業までの流れと必要な資金・手続きを解説」をご確認ください。
3. 店舗開業以外の選択肢

美容室の独立と言えば「自分で店を構える」というのが一般的でしたが、最近では「シェアサロン」や「業務委託契約」などそれ以外の選択肢も出てきています。
(1) シェアサロン
シェアサロンとは美容師やネイリストなど美容サービスを行うためのスペースを有料で提供するサービスです。個室の場合もあれば店舗の一部分を貸し出す場合もあり、金額も場所や大きさによって変わりますが、独立する際に一番のネックとなる開業資金を最小限に留めることが出来ます。
(2) 業務委託契約
業務委託契約は正社員やアルバイトのように美容室に雇用されるのではなく、個人事業主(フリーランス)としてサロン業務を請け負うので、自分のライフスタイルに合わせた働き方が可能になります。最近では直接雇用ではなく業務委託をメインにした大手美容サロンも増えてきています。
ただ、業務委託契約の場合は勤務時間などを定めた「労働基準法」が適用されないので注意も必要です。
4. 美容室のオーナーの年収は?

厚生労働省が調査した平成27年度生活衛生関係営業経営実態調査の結果報告書「美容業の実態と経営改善の方策(抄)」から計算すると、従業員を雇わずオーナー独りで美容室を経営した場合の年商は平均650万円と想定されます。
参照:美容業の実態と経営改善の方策(抄)|厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/content/10601000/000453597.pdf
「年商」と「年収」の違い
年商は個人や企業が1年間に売り上げた総額を表します。例えば、「美容室の年商が1000万円」の場合、その美容室がカットやスタイリングなどのサービスによって1年間に得たすべての売り上げの合計が1000万円ということになります。年商は「家賃」や「広告費」などの費用を差し引く前の金額ですので、仮に「独立して1年で年商が1億円になりました!」というような広告があっても鵜呑みにしてはいけません。年商が1億円あっても人件費などの費用を差し引くと実は赤字の運営をしている可能性もあります。
一方、「年収」とは個人が一年間に得る総収入のことを指します。美容師として独立し個人事業主になった場合、1月1日~12月31日までの期間に得た収入(年商)から必要経費分を引いた所得金額が年収となります。
先述した「美容業の実態と経営改善の方策(抄)」のデータによると美容室の平均収入(年商)は650万円となり、シャンプーなどの材料費や水道光熱費などの費用を差し引くと実際に受け取ることが出来る年収は平均250万~300万円になります。
5. 美容室の独立で失敗しないために

美容室の成功率は「3年10%未満」?
美容室の数はコンビニの数より多いと言われ、毎年多くの美容室やヘアサロンが開業されています。ただ、独立開業を果たした美容室の中で事業を継続できるのは「独立1年で30%」「独立3年で10%未満」というのが現実です。
実際に独立開業した美容室の失敗例を2つ紹介します。
美容室独立の失敗例
(1) 集客の見込み・予測ができていない
「スタイリストとして指名のお客様がたくさんいた」「SNSなどの投稿でフォロワーがたくさんいる」などを理由に独立しても集客ができると考えているのは危険です。
スタイリストとして指名されるためにはもちろん技術も重要ですが、「お店の集客力」がなければお客様を呼び込むことはできません。また、SNSのフォロワーに関しても実際にそのうち何人が見込み客として来店してくれるのでしょうか?
独立を考える際は「人気」や「雰囲気」ではなくしっかりとした数値で客数を予測することが重要です。
(2) 単純な資金不足
(1)の集客の見込みにも重なる部分がありますが、収益化までの予測が甘すぎて開業して早々に資金がショートしてしまうケースも多いです。どんなに技術力があっても「認知」させて「固定客を作る」までには最低でも1年はかかります。
さらに新型コロナのような不測の事態はビジネスには付き物なので、最低でも3か月間は収入ゼロでも運営できる資金は用意しておくと良いでしょう。
6. 美容室の独立でお悩みの方は長岡税理士事務所へご相談ください

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