1人美容室経営のメリット・デメリットは?税理士が教える成功する美容室の作り方

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1人で美容室を経営するスタイルは、近年ますます注目されています。美容師としてのスキルを活かしながら、自分の理想とするサロンを自由に運営できる点が、多くの美容師にとって魅力的でしょう。一方で、1人で経営するからこその課題も少なくありません。本記事では、1人美容室を経営するメリットとデメリットを美容室の開業に強い、税理士の視点から紹介します。

1人美容室を経営するメリットとは?

近年注目されている1人美容室の経営ですが、改めてそのメリットはどこにあるのでしょうか?ここでは、メリットについて解説します。

営業スタイルの自由度が高い

1人美容室の大きな魅力は、自由な営業スタイルを実現できる点です。例えば、平日を休みにして土日に集中して営業することも可能です。
また、施術メニューや価格設定も自身の裁量で決められます。流行を取り入れたメニューを追加したり、特定の技術に特化したサロンを展開したりと、独自のスタイルを確立しやすいでしょう。

コンセプトを自由に決められ好きなサロンにできる

1人美容室では、店舗のコンセプトや内装デザインを自分の好みに合わせて決めることができます。たとえば、高級志向の顧客をターゲットにする場合は、落ち着いた雰囲気の内装や高単価メニューを導入できます。

人件費を削減できる

1人美容室は、スタッフを雇用しないため人件費がかかりません。一般的な美容室では、給与の支払いだけでなく、社会保険料や雇用保険の負担も発生しますが、1人経営ならその必要がありません。
また、人材管理の負担も軽減されます。スタッフのシフト調整や技術指導、トラブル対応といった手間がなくなり、自分の施術に集中できます。

収入アップが可能

1人美容室では、売上から経費を引いた分がすべて自分の収入になります。従業員の給与を支払う必要がないため、一定の売上を確保できれば、手元に残る利益が増える可能性があります。
また、利益をどのように使うかも自由に決められます。設備投資に充てたり、広告費に回して集客を強化したりすることで、より安定した経営を目指すことが可能です。こうした柔軟な資金管理ができる点も、1人美容室の大きなメリットといえるでしょう。

Hair cut concept. Professional accessories of hairdresser with combs and sciccors on work desk yellow background top view copyspace

1人美容室を経営するデメリットとは?

ここまで、1人美容室のメリットを紹介してきました。次にデメリットを税理士視点で解説します。

1日の対応顧客数に限界がある

1人美容室では、オーナー自身が施術を行うため、1日に対応できる顧客数にはどうしても限りがあります。営業時間を長くすれば対応数は増えますが、それに比例して体力的な負担も増加します。
特に、カット・カラー・パーマなど時間がかかるメニューが多い美容室では、1日に施術できる人数が限られやすい傾向があります。
このように、1人美容室では「時間=売上」という図式になりやすく、売上アップには効率的な施術の組み立てが重要になります。

体調不良や長期休暇のリスク

1人で美容室を経営する場合、オーナーが体調を崩したり、ケガをしたりすると、営業そのものがストップしてしまいます。また、プライベートの事情で長期休暇を取りたい場合でも、その間は売上が減少するため、計画的な休暇の取り方が求められます。
この課題に対しては、臨時スタッフの確保や代理施術者との提携、また入院や手術など深刻な体調不良の場合は、所得補償保険や医療保険、生命保険の特約などで収入減少をカバーする対策を検討しましょう。特に保険による対策は、万が一の場合の経営継続に大きな安心をもたらします。
長期休暇については、顧客に事前に十分な告知期間を設け、繁忙期を避けた計画的な取得を心がけることも大切です。

収入の上限が決まる

1人で経営する美容室では、売上は施術可能な人数とメニュー単価によって決まります。そのため、限られた時間の中で施術できる人数が決まっている以上、大幅な収入アップは難しいケースが多くなります。
また、客単価を上げるために高価格帯のメニューを増やすと、新規顧客が離れる可能性もあります。

1人美容室のデメリットを克服する財務戦略を紹介

ここまで紹介したように、デメリットを放置すると、経営が行き詰まり、理想の働き方を続けることが難しくなる可能性があります。

しかし、適切な財務戦略を取り入れることで、1人美容室のリスクを抑え、安定した経営を実現できます。ここでは、事業形態の選択、融資制度の活用、設備投資のタイミング、節税対策など、税理士の視点から具体的な解決策を紹介します。

事業形態を最適化する

1人美容室を経営する際、最初に考えるべきポイントの一つが「個人事業主として開業するか、法人を設立するか」という選択です。多くの美容師は、開業時に手続きが簡単な個人事業を選びます。しかし、事業が軌道に乗り、一定の売上を超えると法人化を検討することで税負担の軽減や社会的信用の向上につながります。
個人事業は、開業届を提出すればすぐにスタートできるというメリットがあります。一方で、所得が増えると税率が上がるため、高収入になった場合の税負担が大きくなる点に注意が必要です。例えば、個人事業主の所得税率は5%から45%まで段階的に上昇します。
事業形態の選択は、将来の売上予測やライフプランを踏まえて慎重に判断することが重要です。例えば、売上が1,000万円を超えるころになると、多くの美容室経営者が法人化を考えるようになります。法人化することで、役員報酬を経費として計上でき、所得を分散させることができます。
具体的には、所得金額が5,000万円の場合、法人と個人では税負担が異なります。個人事業主のままだと所得税・住民税合わせて約1,770万円の税金がかかります。一方、法人化した場合は、適切な役員報酬の設定により、法人税と個人の所得税・住民税を合わせた総額を抑えることができ、結果的に節税効果が見込める可能性があります。ただし、実際の節税効果は役員報酬の設定額や他の経費など様々な要因に左右されるため、専門家との相談が必要です。
ただし、法人化には最低でも25万円程度の初期費用がかかることも考慮に入れる必要があります。税務の専門家に相談し、自身の経営スタイルに合った形態を選ぶことが、長期的な安定経営につながります。

美容室向け融資制度を活用する

1人美容室を開業するには、店舗の賃貸費用・内装工事・設備投資・運転資金など、まとまった資金が必要です。自己資金だけでまかなうことも可能ですが、資金に余裕を持たせるために融資制度を活用することも検討するとよいでしょう。
日本政策金融公庫では、美容室のような小規模事業向けの融資制度を提供しています。さらに、各自治体の創業支援融資も利用できる場合があります。これらの制度を利用すると、低金利で資金を確保できるため、経営の安定につながります。

税務上有利な設備投資のタイミングを見極める

美容室の経営では、シャンプー台・セット面・カット椅子などの設備投資が欠かせません。これらの設備は減価償却資産として扱われ、購入後に数年かけて経費として計上できます。適切なタイミングで設備投資を行うことで、税務上のメリットを最大限に活かせます。
ただし、過剰な設備投資はキャッシュフローを圧迫するため、資金繰りを考えた計画的な購入が重要です。税務の専門家に相談しながら、適切な投資のタイミングを見極めることで、安定した経営を維持できます。

正しい経費計上で節税対策をする

1人美容室の経営では、どこまでが経費として認められるのかを正しく理解することが大切です。経費として計上できるものを適切に処理することで、税負担を最小限に抑えることが可能です。
美容室経営において経費として計上できる代表的な項目には、店舗の家賃・光熱費・材料費・広告宣伝費・通信費などがあります。また、個人事業主の場合、自宅を仕事用に使用している場合は家賃の一部も経費として計上できる場合があります。
経費処理のミスは税務調査の対象となる可能性があるため、日々の帳簿を正確につけることが大切です。例えば税理士に依頼することで、経費の適正な処理や節税のアドバイスを受けることも可能です。

デジタル活用による収益向上と業務効率化

1人美容室を成功させるためには、デジタルツールを活用して業務効率を高めることも重要です。

POSレジやオンライン予約システムの導入

1人で経営する美容室では、時間を有効活用することが不可欠です。そのために、POSレジやオンライン予約システムを導入することで、業務負担を軽減しながら売上管理を効率化できます。
POSレジを導入すると、売上や客単価をリアルタイムで把握できるため、経営の改善点をすぐに分析できます。また、キャッシュレス決済にも対応できるため、会計時の手間を削減できます。
オンライン予約システムを活用すると、24時間いつでも予約受付が可能になります。電話対応の時間を減らし、施術に集中する環境を整えられるのがメリットです。さらに、リマインド通知機能を活用すれば、予約の無断キャンセルを防ぐことにもつながります。

SNSやWeb集客の活用

美容室の集客には、SNSやWebサイトを活用することが有効です。特に、Instagramはビジュアルで施術の魅力を伝えやすいため、多くの美容室が活用しています。
SNSを運用する際は、ターゲット層に刺さる投稿を意識することが重要です。施術事例やお客様のビフォーアフター写真を掲載すると、サロンの技術力をアピールできます。
Webサイトやブログを運営することで、検索エンジン経由の集客も期待できます。特に、「地域名+美容室」などのキーワードを意識して記事を作成すると、地元のお客様に見つけてもらいやすくなります。

キャッシュレス決済の導入

キャッシュレス決済の導入は、お客様の利便性向上に直結します。特に、クレジットカードやQRコード決済に対応することで、支払い手続きをスムーズにできます。
また、キャッシュレス決済を導入すると、売上の管理も簡単になります。現金の管理が不要になるため、レジ締め作業の手間が省け、経理業務の効率化にもつながります。
1人美容室では、業務の負担を軽減しながら売上を最大化する工夫が求められます。デジタルツールを適切に活用し、より効率的な経営を目指しましょう。

1人美容室を成功させるための資金管理や税務対策とは?

1人美容室を長く続けていくためには、売上や集客だけでなく、資金管理や税務対策も欠かせません。そこで重要なのが、税理士を活用して経理や税務を最適化し、長期的に安定した経営を実現することです。この章では、開業時の融資相談、日々の経理処理、節税対策など、税理士がサポートできるポイントを詳しく解説します。

開業前の融資相談

1人美容室の開業には、内装・設備・運転資金など、まとまった資金が必要です。自己資金だけで足りない場合は、融資を活用することが一般的です。しかし、融資を受けるためには「事業計画書」や「資金繰り表」などを作成し、金融機関に納得してもらう必要があります。
税理士は、金融機関の審査基準を踏まえて融資の通りやすい事業計画書の作成をサポートできます。

毎月の経理処理と節税対策

1人美容室では、施術・予約管理・集客など、すべての業務をオーナー自身が対応するため、経理業務の負担を軽減する工夫が重要です。
税理士を活用することで、毎月の帳簿作成や記帳代行を依頼でき、経理業務の手間を減らせます。これにより、本業に集中する時間を確保しながら、正確な財務管理が可能になります

確定申告・決算のサポート

個人事業主として開業する場合、毎年確定申告を行う必要があります。特に青色申告を活用すれば、税制上のメリットを受けられますが、そのためには適切な帳簿管理が不可欠です。
法人として運営する場合は、さらに決算書の作成や法人税申告が必要となります。これらの業務は専門的な知識が求められ、誤った申告をすると税務調査のリスクも高まります。
税理士が関与することで、確定申告・決算に必要な手続きをスムーズに進められ、税制メリットを最大限に活かすことができます。

1人美容室を開業するなら、税理士に相談しよう。

このように1人美容室を開業するには、専門家への相談がおすすめです。特に長岡税理士事務所では、美容室開業に関する豊富な経験と実績を持ち、融資実績総額28億円以上を誇り、開業資金の調達から節税対策まで一貫して総合的にサポートが可能です。
1人美容室開業に関するお悩みやご相談は、ぜひ長岡税理士事務所までお寄せください。

受付時間: 9:00 – 18:00(土・日・祝日を除く)

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