美容師アシスタントの「辞めたい理由」から考える職場環境の改善

author:長岡税理士事務所

どんな職業にも下積み時代はあります。特に美容師など技術職の場合、下積み時代に基礎を固めることで、成長した後に自分なりの特徴を上積みすることが可能になるので、第一線で活躍するプロフェッショナル程、過酷な下積み時代の大切さを語っています。

一方、科学やネットワークの発達により、これまで「正しい」と思われていたことが実は科学的根拠は何もない、YouTubeを通じてこれまで見ることが出来なかったプロの技術を誰でも簡単に学ぶことが出来るなど、これまでクローズドだった「学び」に関する情報が溢れていることで下積み時代に対する価値観も変わってきています。

今回は美容師にとっての下積みにあたる「美容師アシスタント」が辞めたいと思う理由についての解説と、お店側に必要な職場環境の改善案を記載したいと思います。

美容師アシスタントの感情

美容師アシスタントが「辞めたい」と感じるのはなぜか?

新卒美容師の3年未満の離職率は「36.7%」

「美容サロン就業実態調査2024年」によると新卒美容師の3年未満の離職率は「36.7%」で新規大卒就職者の3年未満の離職率「32.3%」と比較すると、高い数値になっています。逆に3年を超えると離職率は低下していくので「アシスタント」から「スタイリスト」になるための3年間が美容師のキャリア形成にとってとても重要な時期と言えます。

特にアシスタント時代はきつい

一般的な会社の場合、離職しても同業他社に転職するケースは多いと思いますが、離職した新卒美容師のうち、「美容師」を継続する人は「55.4%」と全体の半数近くしかいません。

理由は人によって違うと思いますが、美容師アシスタントは特にやることが多く激務で、しんどいという意見がたくさん上がります。「もう一度、別の美容室でアシスタントを続けたい」と思えないほどに辛さを感じてしまう人が多いと考えられます。

美容師アシスタントが辞めたくなる理由

給与や待遇が悪い

美容師アシスタントが辞めたくなる一番の理由は給与・待遇の悪さです。

勤務エリアによっても変わりますが、アシスタントの年収は200万円前後が一般的で物価が上がってきている現在において、ゆとりのある暮らしができる水準とは言えません。

長時間労働による疲労

アシスタントの業務は受付や電話対応から掃除まで多岐にわたり、拘束時間がとても長いです。加えて営業時間外にカットの練習やスタイリストになるための講習会に参加するなど自由に使える時間が少なく、心身ともに疲労をため込んでしまう人が多いです。

人間関係のストレス

美容室業界は「アシスタント」から「トップスタイリスト」まで明確にランクがわかれているので上下関係に厳しい傾向があり、特にアシスタント時代は人間関係のストレスを感じやすいです。

教育や指導体制の不満

アシスタントへの教育や指導体制は美容室によって変わり、積極的に社員教育を行う美容室もあれば技術の向上は個人に任せている美容室もあります。一概にどちらが良いという訳ではありませんが、勤務先に対する不満を抱える原因にはなります。

将来のキャリアへの不安

アシスタントの期間は約2~3年と言われていますが、自身のスキルや美容室の方針によってはさらに時間がかかる場合があります。

また、スタイリストになっても「トップスタイリスト」や「独立」など自分のキャリアプランを立てることが出来ずに、美容師自体を辞めてしまう人も多いです。

美容師アシスタントの声を活かした職場環境の改善方法

給与や待遇の見直し

美容室の運営を考えるといきなりアシスタントの給料を上げることは難しいです。ボーナスやインセンティブ制度を設けることで成果や努力に対する報酬があれば、自分の仕事が正当に評価されていると感じ、モチベーションアップにも繋がります。

柔軟な労働時間の導入

美容師アシスタントが長く働ける環境を作るためには、労働時間の見直しは欠かせません。長時間労働がアシスタントの負担となっている場合、柔軟な労働時間を導入することが有効です。シフト制を導入したり、残業時間を減らしたりすることで、プライベートの時間を確保しやすくなります。働く時間に余裕ができれば、心身の疲労も軽減され、仕事の質も向上するでしょう。

コミュニケーションを活性化する取り組み

職場の人間関係を改善するために、コミュニケーションの活性化を図る取り組みが求められます。例えば、定期的にミーティングや交流イベントを行い、スタッフ同士が意見交換をしやすい環境を作ることが有効です。コミュニケーションが活性化すれば、職場内での孤立感が軽減され、信頼関係も築きやすくなります。

充実した研修や教育プログラムの提供

アシスタントのスキルアップを支援するために、充実した研修や教育プログラムを提供することも大切です。研修内容も実践的なものにすることで、アシスタントが早くから即戦力として働けるようになり、美容室側にもメリットが多いです。

長く働ける環境を作るための美容師アシスタントへのサポートとは?

定期的な面談での悩みのヒアリング

定期的な面談を実施し、アシスタントが抱える悩みや問題をヒアリングすることが大切です。面談を通じて悩みを共有することで、問題が深刻化する前に対処できます。また、上司や先輩がアシスタントの意見を積極的に受け入れる姿勢を示すことで、職場への信頼感が高まります。

キャリアパスの提示と支援

美容師アシスタントの中には、将来のキャリアが見えず、不安を感じる人も多いです。明確なキャリアパスを提示し、キャリアアップのための支援を行うことが重要です。具体的には、ステップアップのためのスキルチェックや、資格取得の支援など、キャリア形成をサポートする制度を導入することで、アシスタントが目標を持って働けるようになります。

「独立支援制度」を導入する店舗も

先程「キャリアパスの提示」が重要であると記述しましたが、最近では「独立支援制度」のような店舗側が独立を促すような制度を導入する美容室も増えてきています。一見するとせっかく育成した美容師が独立してしまい店舗運営が大変に思えますが、「独立したい」という目標を持った有望なアシスタントが採用でき、独立の実績が増えることで「あの美容室なら将来独立を目指すことが出来る!」という認知が広まることで、長期的に見れば採用コストを減らすことが出来ます。

また、独立する場合も「FC(フランチャイズ)」「グループ店」のように店舗開業・運営サポートを行うことで両者WIN-WINの関係を築くことも可能です。

まとめ:深刻な人材不足になる前に改善を

美容師アシスタントが辞めたいと感じる理由には「給与や待遇」「人間関係」「労働時間」など様々な要因があることがわかりました。現在は若者にとって人気の職業であり、そこまで人手不足が顕在化していませんが、今後さらに少子化が進んだ時に「高い離職率」を放置していると深刻な人材不足に陥ります。

無駄な採用コストを下げることが出来れば店舗側のメリットも大きいので、アシスタントの働きやすい環境づくりを今のうちから検討してみてはいかがでしょうか。

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