「美容ディーラー」とは?美容室との関係性を解説

author:長岡税理士事務所

「美容ディーラー」という職業をご存じですか?一般的にあまり聞き馴染みがない職業ですが、これまで美容室の運営に欠かせない存在として認識されていました。最近では美容ディーラーの業務形態も変化してきております。

今回はそんな美容ディーラーについて詳しく解説していきます。

美容ディーラーとは?

美容ディーラーの仕事

美容室でスーパーやドラッグストアが扱っている市販のシャンプーを使用している店舗はほとんどありません。複数店舗を展開するサロンではシャンプーなどを自社開発しているケースもありますが、美容室の多くが業務用の美容商品を「美容ディーラー」を通して購入しています。

美容ディーラーは複数の美容メーカーから美容商品・器具などを買い付け、美容室やサロンに卸売りをする「代理店」です。

美容室への定期訪問

美容ディーラーの重要な仕事が「美容室への定期訪問」です。自分が担当している美容室を訪問し、商品の在庫状況や希望商品のヒアリングを行います。複数のディーラーと取引を行う美容室もあるので、「美容室の売上げアップ」や「お悩み解決」に繋げるための商品提案が重要になります。

商品の買い付け

美容室への定期訪問で得た情報をもとに「商品の買い付け」を行います。美容ディーラーが扱う商品はシャンプー・ヘアカラー材・ハンドミラー・シャンプー台など多岐にわたります。また、新商品やトレンドなどの情報を買い付けの際にメーカー側から聞き出し、今後の商品の販売に繋げます。

商品の販売・配送

美容室が希望している商品を販売するのはもちろんですが、「美容室へのヒアリング」や「メーカーから得た情報」をもとに、美容ディーラー側から提案した商品を購入してもらえるかが腕の見せ所になります。

また、商品の配送も美容ディーラーの仕事に含まれます。遠方の美容室には梱包して発送する場合もありますが、基本的に担当の美容室まで自ら配送することが多いので、自動車免許は必須になります。

美容ディーラーの給料相場

美容ディーラーの中には全国展開している大手会社もあれば、都道府県などエリアを絞って営業している会社もありますので、企業によって給料・年収に差はあります。

美容ディーラーの年収相場

年収収400万円~500万円程度

参照: 美容biz

https://beauty-job.biz/media/?p=959#toc7

美容メーカーとの違い

美容ディーラーと美容メーカーは根本的に業務内容が異なります。

美容メーカーは美容商品・美容機器の開発・製造を行い、美容ディーラーがそれらの商品を美容室やサロンに販売します。美容ディーラーを利用することで、美容メーカーは直接店舗に営業するコストをカットすることができ、お店側も複数メーカーの商品を比較できるので、美容メーカーと美容室の双方にメリットがあります。

日本の大手「美容ディーラー」

日本には大手から中小まで合わせると1,000社以上の「美容ディーラー」会社があると言われております。今回はその中で年間売上100億円以上の大手3社を紹介します。

ガモウ

株式会社ガモウは1927年に蒲生清二郎氏が東京で「蒲生清二郎商店」として創業し、当初は美顔器やパーマネント機械の製造・販売を手掛けていました。1976年には株式会社ガモウとして正式に設立され全国展開を進めていき、2000年代以降は全国各地に支店やスタジオを開設し、ガモウグループとしての規模を拡大しています。

株式会社ガモウ

〒107-0062 東京都港区南青山2-27-25 ヒューリック南青山ビル 2F

ダリア

株式会社ダリアは1946年(昭和21年)に高木道明氏によって創業され、創業当初は戦後の物資不足の中で、美容材料商として事業を開始しました。1967年には法人化され、現在では九州・福岡を拠点に全国展開を行っています。社名の「ダリア」は美しいダリアの花にちなんで、美容業界が華やかで人を美しくするものであるというイメージから名付けられました。

株式会社ダリア

〒812‐0016福岡市博多区博多駅南4‐3‐25

フジシン

株式会社フジシンは、1956年に設立され、美容業界における専門商社として、美容室向けにシャンプーや化粧品などのヘアケア用品を卸しています。フジシンでは商品を提供するだけでなく、経営コンサルティングや市場分析、店舗デザインの提案など、多岐にわたるサービスを展開しています。

株式会社フジシン

〒162-0065 東京都新宿区住吉町8-12

WEB発注のみのディーラーが台頭

これまでは美容ディーラーが「直接お店に営業へ行く」スタイルが一般的でしたが、訪問営業は一切せずにWEB上での発注のみを行うディーラーが台頭してきています。

ビューティガレージ

株式会社ビューティガレージは2003年に野村秀輝氏と供田修一氏によって設立され、創業当初は、中古理美容機器の販売・買取をインターネットで行う事業からスタートしました。

2003年に開設したオンラインショップ「BEAUTY GARAGE Online Shop」は法人向け美容商材のECプラットフォームとして急成長し、2013年には東京証券取引所マザーズ市場、2016年には東証プライムに上場しています。

BEAUTY GARAGE Online Shop

  • 次回の来店予約で○○Off
  • 2か月以内の来店で割引

など再来店のきっかけを作ることも重要です。

amazonプロフェッショナルビューティー

amazonプロフェッショナルビューティーは法人や個人事業主向けのEコマース事業「Amazonビジネス」の一環として2019年6月にアメリカで開始され、日本では2020年10月にオープンしました。通常のamazonストアとは違い、特定のビジネスアカウントのみがこれらの商品を購入できる仕組みとなっており、美容業界全体のデジタル化を支援・推進しています。

Amazonプロフェッショナルビューティー

今後はWEB発注がメインになる可能性も

このようなスタイルの変化は「美容業界」だけではありません。例えば、これまで当然のように行われていた企業間での打ち合わせも、新型コロナウイルス対策の外出制限でZOOMなどのオンライン会議が一気に広まり、制限がなくなった今ではオンライン会議が主流になりつつあります。

さらに「個人事業主」など美容室の営業形態も多様化する中で、「便利」かつ「安い」WEB発注が今後さらに拡大する可能性はあります。

先述したガモウやダリアなどの大手美容ディーラーではこれまでメインで行っていた「買い付け」「販売」に加え「コンサルタント業務」や「美容業界セミナー」など新しい分野にも注力をすることで「WEB発注」との差別化を図っています。

「美容ディーラーは不要」?メリットとデメリット

ここまで美容ディーラーの仕事や企業を紹介してきましたが、実際に「美容ディーラーは不要」なのか、メリット・デメリット両方を見て深堀していきたいと思います。

美容ディーラーのメリット

① 必要な商品をまとめて発注ができる

美容室の業務に必要な商品はシャンプーやトリートメント、ヘアカラー材など多岐にわたります。複数メーカーのシャンプーを利用している場合、メーカーごとに分けて発注するとなると作業がさらに増えます。人手不足の美容室にとっては定期的に訪問し、まとめて発注してくれるのは大きなメリットになります。

② 経営や運営について相談できる

美容ディーラーは定期的に訪問してくるので、美容室の経営状況などを常に把握しています。担当する美容室の売上が下がれば、購入する商品の数も下がりますので美容ディーラーとしても売上を上げるために、経営や運営について相談にのってくれます。

③ 美容業界の最新情報を入手できる

美容ディーラーでは商品の卸売りだけでなく、新しい技術の講習会や店舗運営のセミナーを開いています。特に個人で美容室を運営しているオーナーさんは日々の業務で忙しく、積極的に情報収集をする時間は限られます。

このような講習会で情報をアップデートできるのはメリットと言えます。

美容ディーラーのデメリット

① 直販価格より卸値が高くなる

美容ディーラーを使用するデメリットとして一番大きいのは「仲介料」です。ディーラーが間に入ることで「仲介料」が発生し、メーカーから直接購入するよりも卸値が高くなります。

② インターネット経由で購入できる場合がある

美容メーカーが直接販売を行っていない商品は美容ディーラー経由でしか購入ができませんでした。しかし、先述したオンラインショップの台頭で美容メーカー側も簡単に出品することが出来るようになったので、インターネット経由でも購入できる商品が増えてきています。

③ 美容ディーラーから得られる情報が少なくなってきている

メリット③で「美容業界の最新情報を入手できる」と記載しましたが、逆に得られる情報が少なくなっていることがデメリットにもなります。

これまでは雑誌やテレビなどのメディアを通じてトレンドが浸透していく流れがあったので、最新のトレンド情報にはいち早く掴むことに価値がありました。

ただ、今のトレンドの中心はSNSにあり、トレンド情報も一気に拡散されます。その中で価値のある情報を伝えられる美容ディーラーはかなり限られるでしょう。

美容ディーラーを利用することで「付加価値を得られるか」がポイント

WEB発注が可能になったことで美容ディーラーを通さなくても購入できる商品が増えました。WEBで発注することで当然仕入れ費用は抑えることが出来るので、今後も美容ディーラーを利用する場合は「価格以上の付加価値」を得られるかが重要になります。

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