開業に関する届出書について <税務の窓> 開業に関する届出書について <税務の窓>

個人の方が事業を開始する際には、所轄の税務署や地方の県税事務所に各種届出が必要になります

  ➡事業から生じた利益に対しては所得税が課され、事業規模が大きい場合には個人事業税も課税されます  

 

①「個人事業の開廃業届出書」と「所得税の青色申告承認申請書」

 ➡従業員がおらず個人事業主のみで開業する場合、最低限必要な届出書が        

 「個人事業の開廃業届出書」と「所得税の青色申告承認申請書」になります            

 

  ◎提出期限は「開業届」が開業日から1か月以内、      

       「青色申告承認申請書」が開業日から2か月以内         

       ※その年の1月1日から1月15日までに開業した人は、年の3月15日までに提出すれば             

        開業の年から青色申告が可能(1月1日に開業された方も3月15日までに届を提出すれば青色申告が可能)           

 

  ◎開業届を出すメリット           

    ・青色申告で確定申告ができるようになる    

     ⇒納める税金を少なくできる(節税)           

    ・正式に個人事業主になれる          

     ⇒屋号で銀行口座を作ることができる       

 

  ◎青色申告をするための要件

    ・青色申告承認申請書を定められた期限までに所轄税務署に提出する          

    ・複式簿記、簡易簿記などの制度に則り、帳簿を作成する     

    ・帳簿や領収書などの証憑書類は適正に整理し、7年間保管する      

    ・決算時に棚卸表の作成や損益計算書、貸借対照表の作成をする   

 

  ◎青色申告をすることのメリット         

    ・青色申告特別控除が受けられる  

     ➡所得金額から最高65万円、または10万円を控除できる            

    ・青色欠損金の繰越控除   

     ➡赤字を3年間繰り越せる制度  

    ・青色事業専従者給与 (注釈①)  

     ➡家族に支払った給与を経費にできる     

    ・「中小企業者の少額減価償却資産の取得価額の必要経費算入の特例制度」を適用できる(注釈②)       

     ➡取得価額が30万円未満の減価償却資産について、その取得価額に相当する金額を経費に算入することができる         

注釈①
家族従業員のことを「専従者」と呼びます

①青色申告者と生計を一緒にしている配偶者、もしくは親族であること ②その年の12/31時点で15歳以上であること ③青色申告者の営む事業にもっぱら従事していること 以上3点が条件になります
「青色申告承認申請書」と「青色事業専従者給与に関する届出書」を提出していれば、専従者への給与を全額経費にすることができます
(白色の場合は「事業専従者控除」として一定額の控除のみになります)

 

注釈②

この制度を適用できるのは、青色申告者のみです。

減価償却資産は取得した年に実際に使用を開始したものに限られ、適用を受けるためには確定申告書に「少額減価償却資産の所得価額に関する明細書」を添付することが必要ですが、青色申告決算書の「減価償却費の計算」欄に「少額減価償却資産の所得価額の合計額」「少額減価償却資産について租税特別措置法第28条の2を適用する旨」「少額減価償却資産の取得価額の明細を別途保管している旨」を記載すれば、適用を受けることができます。

限度額は年間300万円までと決められています。

②その他の届出書         

  ・「給与支払事務所等の開設届出書」  

   ➡給与等の支払事務を取り扱う事務所等を開設した場合に、その旨を所轄税務署に届け出る手続き             

 

  ・「源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書」   

   ➡従業員が10名未満である場合に、半年に1度、税金をまとめて納付できる手続き   

 

③「棚卸資産の評価方法の届出書」         

  ➡届出書の提出は任意。提出しない場合は「最終仕入原価法」となり、それ以外の方法で申告したい場合には提出が必要です。

          

 ◎棚卸資産とは?       

  ➡事業に関わる商品、製品、半製品、仕掛品、原材料その他の資産(有価証券および短期売買商品を除く)のうち在庫として残っている資産のこと           

つまり「販売することで収入につながる、いわゆる在庫となる資産」のこと     

 

 ◎棚卸資産の評価方法とは? 

  ➡原価法と低価法に分かれます。原価法は棚卸資産の取得原価をベースに評価する方法で、取得価額の求め方には6つの評価方法があります         

 原価法            

  (1)個別法   

    各仕入時の価格で評価する方法。規格に応じて価額が違うものなどには認められていない

    宝石・貴金属や不動産販売業者の販売する土地などの評価に適している

    個別の商品の実際の仕入・払出をその通りに計算する方法になるので、手間がかかることがデメリット        

 

  (2)先入先出法         

    商品や資産は仕入れた順に販売、使用等されていくものと考え、棚卸資産は期末にもっとも近い仕入時に取得されたものからなるとして計算していく方法

 

  (3)総平均法             

    期首の棚卸資産の取得価額の総額と、期中に新たに得た資産の総額を合わせて、その金額を期首の個数と期中で仕入れた資産の個数の総数で割って得た金額を取得価額とする方法           

物価変動による影響を受けにくいが、期末まで計算できない点がデメリット    

 

  (4)移動平均法         

    仕入ごとにその時点の在庫と仕入から棚卸資産の平均単価を随時計算して評価していく方法

    毎回計算が必要なため、計算が複雑になることがデメリット

 

  (5)売価還元法         

    種類の近い商品をグループとして、期末時点の棚卸資産の販売価額の合計額に原価率をかけて計算した金額で評価する方法          

    原価率は「期首の棚卸資産の取得価額と期中の仕入棚卸資産の取得価額の合計額」を「期末の棚卸資産の販売額と期中に販売した棚卸資産の販売価額の合計額」で割って算定     

    スーパーや百貨店のように取り扱い商品が多い場合や、商品ごとの原価を調べるのが困難な場合に便利 

    販売価格から計算できるので、小売業等値札をつけて販売している場合、売価が調べやすい場合に適する            

 

  (6)最終仕入原価法 

    期末に一番近い仕入時の金額を取得価額として計算する方法           

 

   評価方法を選択しなかった場合は、(6)の最終仕入原価法によって棚卸資産が評価されます    

 

 低価法            

   上記の原価法のいずれかの評価方法により評価した金額と、期末時点での時価のうち、低いほうの金額で評価する方法      

   低価法を適用した場合は、次の期首に振り戻しの処理が必要になります           

   低価法の場合は時価が著しく変化した場合に、それによる企業の状況を正確にとらえることができます

 

◎評価方法の選択         

   棚卸資産の種類ごとにどの評価方法をとるか選択します         

   選択の届出は、基本的に法人設立の事業年度分の確定申告提出期限になります

   評価方法は基本的には継続適用となるため、事業開始時に選択した評価方法を3年は適用しなければなりません     

           

④減価償却資産の償却方法の届出書     

   ➡届出書の提出は任意

減価償却資産は、資産ごとに決められた償却方法で提出することになります 

    決められた方法で減価償却の計算を行いたくない場合は、届出書の提出が必要になります     

  提出しなければ「定額法」で計算することになります       

 

  ◎提出期限  

   ➡第一期目の確定申告書の提出期限まで    

 

  ◎「定率法」「定額法」とは?   

   ➡「定率法」・・・減価償却費=期首帳簿価額×定率法償却率 

    償却できる金額が、毎年一定の割合で減少していく 

 

    「定額法」・・・減価償却費=取得価額×定額法償却率           

    毎年、減価償却できる金額が同じ  

 

  ◎メリット・デメリット   

   ➡法定耐用年の期間内で所得価額を経費化していくという点ではどちらも変わりません

    法定耐用年数が経過したときに残されている未償却部分は同額になります    

    異なるのは経費化していくスピードです。定率法は最初から多額の減価償却費を計上できます 

    なお、建物、無形固定資産、ソフトウェア、生物に関しては定額法のみになります         

 

 ★総括★        

              個人事業主で開業された場合には、節税の観点からいっても「開業届」と「青色申告承認申請書」を必ずセットで提出するべきです。

それぞれ期限が決まっていますので早めに対応しましょう

              またお給与を支払う従業員の方がいる場合は「給与支払事務所等の開設届出書」と従業員が常時10人未満の場合は併せて「源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書」も提出してください

              毎月期限のある煩雑な納付手続きが、半年に1度になります

              「棚卸資産の評価方法」と「減価償却資産の償却方法」については業種や取り扱う商品の特性を考慮したうえで選択しますが、個人事業主の場合、開業時は経費がかさみ利益が少ないことが予想されること、また事務は簡便に行いたいので、提出はしないことをお勧めします

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